少しうれしい


行き帰りの電車の中で文庫本を読む日常。

ここ数日、向田邦子のエッセイ集を読んでいたのですが、これが抜群に面白い。

向田邦子は大昔に短編集を読んだことがあるのですが、その時はさほど面白いとは感じなかったような気がする。

その時と今の自分との違いは、無駄に年を食ったくらい。

無駄に年輪を積み重ねているように見えて、わずかばかりの経験は積み重ねているわけで、それがゆえに初めて理解できる面白さがあるのかもしれない。

年をとるというのは段々とうれしくなくなるものだけど、新しい面白さが感じられるようになるなら悪くない気がする。

もっとも、逆に昔面白かったけど、今面白く感じられないことも多々あるように思う。

その時に感じるのは一抹のさびしさ。何もかもうまくいくなんてあり得ないのだ。

だけど、今は少し得をした気分。年をとるのも悪くはない。そんな風に感じて少しうれしくなった。