国境を超えて

中田英寿選手:HPでイラク戦争反対を訴え

中田英寿オフィシャルサイトのTOPページに、イラク反戦へのメッセージとして、イタリア語で「Amore」(愛)「Pace」(平和)という2つの単語が載せられているようだ。彼のような社会的影響力のある人間がこういった形のメッセージを発信するというのは非常に意義のあることだと思う。

今でこそ、有名人が公式サイトを持つことは当たり前であるが、彼はその先駆者とも言える存在である。彼は、WEBというメディアを早い時期から用い、ファンへのメッセージを伝える媒体として巧みに使いこなしてきた。代表的なのは、彼が定期的に肉声を寄せるコーナーである「Hide's
Mail」。マスコミ嫌いとされる彼からの直接のメッセージが受け取れるコーナーとして貴重な存在だ。

そして、こういった先駆者のサイトを巧みに利用する戦略の影響を受けて、最近では多くの芸能人がWEBでの情報発信を重要視するようになってきている。重大な発表が公式サイトでの発表で済まされるそんなケースも少なくない。

たとえば、中田英寿の他にWEBというメディアを巧みに利用してしてきた有名人としてあげられる宇多田ヒカルが、自らの結婚を自らの公式サイト上で発表して話題になったのは記憶に新しい。

こういった公式サイトでのみメッセージを発信し、マスコミの取材に対して非協力的なことについて一部では批判もある。公式サイトでのメッセージでは自分にとって都合の良い情報しか伝える必要がないからだ。

ただ、彼らがWEBでの情報発信を重視する姿勢はすごく理解できる。メディアではどうしても記者というフィルターを通すことによって自分というものがゆがめられた形で伝わってしまうという側面があり、自分の本心が伝わらないもどかしさがあるのだろう。

客観的な目線で物事を伝えるというメディアの役割は重要だが、どうしても第三者を経由することの問題は生じてしまう。したがって、こういった形で直接メッセージを伝える場を持つことは、意味のあることだと思う。また、ファンも直接、彼からのメッセージを受け取れるのは歓迎すべきことである。

たとえば、今回のような反戦メッセージを寄せるようなことは今までではなかなかできなかったことだ。彼ほどの有名人であってもやはり一個人にすぎない。従来のメディアでは、伝えられる情報に限りがある。紙面のスペースは限られているし、テレビのチャンネルは増えたからと言って無限ではない。そもそもこういう思想・信条が絡む問題は公平性の観点からとりあげにくい。とするなら、一個人が多くの人にメッセージを伝えるということは、なかなか難しいことなのだ。

ところが、WEBの世界では、そうではない。誰しもがサイトを持つことができ、情報を世界中に発信することができる。インターネットという技術を通じて、世界とつながっているのだ。そして、そこでは表現の自由として保障されている限りにおいて、個人としての意見を自由に表明することができる。

そして、今、発信されたメッセージが反響を呼んでいる。「Amore」&「Pace」は国境を超えて広がろうとしているのだ。

このような光景をみるインターネットという世界の持つ価値のすばらしさを感じる。そして、いつか、インターネットが国境の垣根を取り払い、世界に平和をもたらす日がくるのだと僕は信じている。

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