別れの手紙


不定期映画鑑賞日記

レイトショーで「チェ 39歳 別れの手紙」を見てきました。

キューバ革命の軌跡を描いた前作とは舞台を変え、ボリビアで革命を実現させようと戦うが、思うように成果を挙げられず、民衆の支持も得られず、次第に政府軍に追い詰められ、最後はとらえられ処刑されるまでを描いた作品。

前作「チェ 28歳の革命」と違って物語は史実に沿って時間軸どおりに進みます。ある意味、淡々と、ゲリラ戦の模様が綴られていきます。その分見やすいのだけど、結末がわかっているだけに切なくなる感じ。

思うように戦果はあがられない。民衆の支持を得られないどころか、密告、裏切りにより勢力をそがれていく。戦力に勝る政府軍の足音がひたひたと聞こえてくる。そんな状況にあっても態度がまったく揺るがない。捕らえられ処刑される最後の最後まで変わらない。そんな彼の姿が見事に描きだされています。

その先にあるのはただただ感動と涙。ひたすらに悲しくて切なくて泣ける。そして、生きることと死ぬことの意味を考えさせられる。

これはゲバラ自身の生き方から来る共感なのだけど、撮り方のうまさもあるような気がする。ドキュメンタリータッチに淡々と描く手法は前作と同じなのですが、特にうまいなと思ったのは、ラストに挿入されたワンシーン。そして、エンドロール。

全部見終わって、あまりに濃い彼の生き様といいようのない悲しさが、自分の生き方に対して強烈な疑問符を突きつけているような気がして、全身が重たくぐったりした気分になりました。

正直、映画にエンタメ性を求める人にはお勧めできません。だけど、人生に向き合ってみたいときに見て、余韻を味わうには最適かなあと思います。

★★★★☆(4点)


P.S.
まとめておかないと忘れるので・・・
◆今年見た映画
チェ 28歳の革命 ★★★☆☆
K-20 怪人二十面相・伝 ★★★★☆
20世紀少年<第2章> 最後の希望 ★★★☆☆
チェ 39歳 別れの手紙 ★★★★☆

◆今後見たい映画
誰も守ってくれない
ベンジャミン・バトン 数奇な人生
オーストラリア
少年メリケンサック