村上春樹って。。。


どうもチェスのルールを知らないっぽい。

「しかし『組織』は遅かれ早かれ状況を知るよ。それがどんな状況かはしらないけどね。『組織』はとても巨大だし、それに馬鹿じゃないからね」
「たぶんな」と彼は言った。「しかしそれにはまだ少し時間がかかるし、うまくいけばそのあいだに我々もあんたもおのおのの抱えた問題を解決することができるかもしれない。選択というものはそういうものなんだよ。たとえ1パーセントでも可能性が多い方を選ぶんだ。チェスと同じさ。チェックメイトされたら逃げる。逃げ回ってるうちに相手がミスをするかもしれない。どんな強力な相手だってミスをしないとは限らないんだ。さてー」
(「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」新潮文庫版(上)264ページの4行目以降を引用)

チェスの目的は、相手のキングを取る(正確には、次に何をしてもキングが取られる状態にする)事です。この、対処策の無い、つまり、詰められた状態を、チェスでは「チェックメイト」と呼びます。
http://www.geocities.jp/tct/rule/checkmate.html

チェックメイトされたら投了するべきなので、相手のミスを待つも何も逃げたら反則ですwww

まあ、これは単純な誤りなので、編集者がちゃんとチェックすべきなのかも知れないですけどね。

ささいなことのような気がするけど、個人的にはこだわりのあるジャンルなので、読んでいてすぐに違和感を感じて、おかしいなと思った。

西洋ではチェス、日本では将棋はボードゲームとしてはメジャーな存在なので、会話などのレトリックとして用いられる場合が多いようです。最近ではホリエモンが例の買収騒動の時に使ったくらいでしょうか。

「もう詰め将棋で詰んでるのに、穴熊やってもしょうがないでしょう」っていう発言

ホリエモンの使い方も間違ってるわけでは思わないけど、微妙にずれてる感じがする。というのは、穴熊をやっている状態で詰むということはまずありえないからです。だから想像するに、彼もある程度は知っているけれどそんなに深くは知らないのだろうなと思う。

だから、あの発言を聞いたとき感じたのはなんとなく違うなという違和感でした。それは例えば、職業ものの小説やらドラマを本業の人が見たときにどう感じるかに近いものがあるような気がする。

例えば、職業もののドラマとかを本職の人が見たら、結構爆笑ものなのだろうなとか。でも逆にあまりに現実に近づけると一般の人にとってはかえってつまらないものになってしまうかもしれない。

これはフィクションを作り上げるときにかならずぶち当たる壁で、そこに創作の難しさが潜んでいるのだなと思った。

まあ、ある意味どうでもいいけど、少し考えさせられた発見。


※ 投了(とうりょう)とは、ボードゲームにおいて、不利な方が負けを認め、終局まで打たずに(指さずに)ただちにゲームを終えること。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8A%95%E4%BA%86