R.P.G.

ドラマを見終わった後に抱く感想には2種類ある。ああ面白かったなあという感想を抱いてすがすがしい気持ちになる場合と終わった後も心に残って何か考えさせられてしまう場合の2種類だ。そして、この作品は、後者に属している。

見終わった後に、残されたのはやりきれない何か。ミステリー作品としては、導入から結末に至るまできれいに構築されて高い完成度を示してくれている。だけど、中で描かれている主題は答えが示されることなく完結しているように思える。本当の家族の大切さというお題目は示されているけどなんとなく弱い気がする。

本当の家族と疑似家族の対比、そして、結末で明らかになるR.P.G.の意味合い。ドラマというバーチャルな構造の中で、R.P.G.というバーチャルなゲームが描かれるという二重構造。それは、さらに多重構造を含んでいて・・・。

僕には、何が現実なのか見えなくなってしまった。

どうにも答えが見つからない。そもそも本当の家族だって、互いにそれぞれに与えられた役割を演じているだけじゃないか。とするなら、疑似家族とその点は違いはないわけだし。むしろ、劇中では、疑似家族の方が家族的ですらあった。

そのままどうにも答えの見つからない何かを抱えたまま僕は眠りについた。そして、今朝目覚めて、昨日ヒロインを演じていた後藤真希が派手に行くべと歌っている絵を見た。

その瞬間、何が現実なのか僕にはますますわからなくなった・・・。