二本立て

先着順でブロマイドがもらえるらしいというので、「青春ばかちん料理塾/17才 旅立ちのふたり」を見に行ってきました。

結論から言ってしまうと想像していたよりきちんとしてたのでびっくり。

17才あたりなんか十分映画として成立しているというか、アイドル映画としては佳作とも言える出来だと思いました。

あらゆる面で対照的な石川梨華演じる真衣子と藤本美貴演じる理沙が偶然出会い、それぞれがいくつかの出来事を経て、家族の愛とか夢とか友情とかそういうものの意味に触れていきます。そして、その中で二人には友情が芽生えていくというお話。

ちょっとレトロな世界観とある意味古風なヒロインの二人が織りなす物語で、今風とは言えないけどいつの時代にも成立するような青春映画と言えるでしょう。

時間上の制約から二人の接点が薄かったり、全体的に展開が急な印象は否めなかったのですが、軸となる部分はしっかりしていて破綻することなく最後までつながってように感じました。

また、出演者に目を向けると主役の石川さんと藤本さんの二人も良かったと思います。演技力的にはお世辞にもうまいとは言えませんが、特に違和感を感じることはありませんでした。おそらく、なによりも必要なスクリーンに栄える存在感を彼女がもっているからなのでしょう。

演技の技術はなくてもステージ上で輝く術を彼女たちは持っていて、それはスクリーン上でも発揮されているのです。

それから、脇を固める人たちも重要な役割を果たしていたように思います。真衣子の里親役の二人、理沙の母親とか。

特に光ってたのは耕太君役の男の子。主人公の二人を引き合わせる役割を果たすなど物語のキーパーソンになっていて、みずみずしい演技が印象的でした。

全体としては、テーマとしては重苦しい部分も多いのですが、見た後に心を洗われるそんな作品だと感じました。

一方、「青春ばかちん料理塾」は「17才」とうってかわって、コメディタッチの思わず笑ってしまう内容。

とはいっても、当然全編笑いなわけではなくて、ちょっと考えさせられたり、しんみりしたりする場面もありました。

こういうテイストって、後藤真希のミュージカルにも共通性があるように思います。その意味で、この映画は、どちらかというと主役の後藤真希がいてこそ成り立つ物語という印象が強いですね。

「17才」の主役は別に石川梨華じゃなくてもいいかもしれないけど、「ばかちん料理塾」の主役は彼女しか想像できない。

役柄がぴたっとはまってるせいか演技的にも無理がなくて違和感なく見れる感じがしました。こういう等身大の女の子の役がはまってしまうんだよななぜか。

ストーリー的には、主人公の成長物語といった感じで、最後に流れる主題歌の「スクランブル」のすがすがしい感じと併せて、青春って感じが伝わってくる作品だと思いました。

こちらの方もやっぱり短い時間に押し込んだせいで無理矢理な感じが目立っていたように思います。本当のことをいえば、二本立てにせずに一つにしたほうがよいのでしょう。

ただ、二つの対照的な作品を楽しめたという点ではまあそれもありかなと思います。

ちょうど、それは、「17才」の中で対照的な二人を描くことで物語を構成していたように、対照的な二つの作品を二本立てにすることで見に来た人を楽しませてくれている、そう感じました。