きみをつれていく

安倍麻美3枚目のシングル。アルバム発売を控えて一区切りを迎える形で、いわば、3部作とも言える作品の完結編。

レトロというよりアナクロニズム(時代錯誤)な世界観は相変わらずで326の作り出す重い歌詞、筒美京平の一昔前を思い起こさせる楽曲がそれに拍車をかけています。

そして、お世辞にもうまいとは言えない安倍麻美のボーカル、その上にはオカルト的なコーラスをのせて、聴く者を不思議な世界に引き込んでしまうそんな作品。

C/Wはこれまたフォークソング的な感じで、えっ、今って21世紀だったよねと自問自答したくなるような雰囲気を漂わせてくれてます。

良くも悪くも今の音楽というものの意味とかそういうのを時間軸とか空間軸とか含めて崩壊させてしまうような力を持った作品。

本当、ありえないです。これは。

ちなみに、初回盤についてくるDVD「○○の記憶」シリーズも水→風→空ときて完結の模様。

前作の時間軸さえ通り越した設定とは違って、今回は、ごく普通の設定に落ち着いています。雰囲気的には、デビュー曲についていた水の記憶に近いでしょうか。

主人公がひょんなきっかけで自身の記憶をめぐる不思議な体験をするという物語で、結末も安易な感じなのですが、その分普通に見ることができました。

さて、次に待ちかまえているのはアルバムです。今までシングル3作で表現してきた世界をどう料理するのかが興味深いところで、どういう感じの作品になってくるのかちょっと楽しみ。