乖離

朝なにげにテレビをつけて見てたら関西ローカルの情報番組みたいなのが流れていた。

なんでもハロプロ関連のCDとかDVDなどの商品のこの1ヶ月の売り上げは5億6千万くらいになるらしい。

この数字を見ると相変わらずのハロプロの勢いを感じるのだが、同じ番組の中で別の数字も示されていた。

LOVEマシーンの大ヒットの勢いの後で出したシングル「恋のダンスサイト」。このシングルの売り上げは、一週間で60万枚。1000円×60万枚=6億円。

そう、1ヶ月分のハロプロ全体の売り上げをあわせても、たった1枚シングルの1週間分の売り上げに届かないということらしい。

つまり、その当時から商品の売り上げの構図が変わってきていて、一つの商品を大量に売る形から、多種多様な商品を少しずつ売ることで利益を上げるというスタイルになっているということのようだ。

次に次に発売される商品をすべて買うようなコアなファンによって今のハロプロというシステムは支えられている。

これは、企業戦略としては間違っているとも言い切れない。

たとえば、最近、少子化で子供相手のマーケットは狭くなっており、そういう商品を販売している企業は少なからず戦略の見直しを迫られている。

ところが、高級な子供服は着実に売り上げを伸ばしていっているという。これはなぜか。

子供が少なくなっている分、一人の子供に掛けられるお金が多くなっているため、高級な商品が売れるようになっているということのようだ。

この例とは若干違うが、少数の大量に支出してくれる顧客を囲い込んで、その層に向けた商品を出し続けるという今のハロプロのあり方は、一つの方法なのかも知れない。

現に今のハロプロはそういう方向に動いているように思う。

ライトなファンを排除して、コアなファンだけを囲い込むそういう戦略であり、その戦略の一環として、身近に触れることのできるイベントの増加なども一例としてあげられよう。

結局、昨年来続いている改変劇ってのもそういう戦略の一環なのかも知れない。

一見さんはお断りみたいなそんな感じ。

個人的には、そういう方向ってのはすごく違和感がある。元来、ミーハーな人間ある僕にとっては、少数のコアなファンによって支えられる世界よりも多数のライトなファンによって支えられるような世界の方がいいものであるように映るからだ。

流行の移り変わりというものは早い。世間の人は飽きっぽいものだ。

それゆえ、大衆を相手にし続けるのは実質不可能であり、コアなファンの囲い込み路線ってのは、間違った方向ではないと思う。

だけど、なんか違うんだよなあってのが感覚がある。

安倍なつみの脱退にしてもヲタ界隈で大騒ぎになったけど、世間的にはどうだったのだろうか。

彼女の場合は、ネームバリューもあるので、それなりの話題ではあったと思う。

でも、実際のところ、ああまたかって反応があれば良い方で、ふ〜んくらいの反応なような気がする。

個人的にも、衝撃的な出来事でありつつ、案外冷静で、自分でも意外だった。

もはや、ハロプロってのは世間から隔離された世界で、大騒ぎが起きたとしても所詮は小さなコップの中での出来事なのだという気がする。

こういう感想の持ち方ってのは、あるべき姿から少しずれているのかもしれない。

問題なのは、提供される作品を自分自身で気に入るかどうかで、世間の目を気にするのは間違ったあり方だからだ。

ただ、少なくとも世間の評価というのも一つの指標として意味がある。

とするなら、現状はあまりにさびしい。

まあ、さびしいと言ってみたところで、どうしようもないのだが・・・。

このことの解決策は単純で作品の質を上げること。救いなのは、最近の作品の質が一時期の低迷に比べて戻りつつあること。

だからといって、今の流れは変わらないかも知れない。ただ、もう少し、世間の注目を集められるような存在に戻って欲しいなあというのが今の僕の願い・・・。