Perfume

9月の中旬のとある日曜日のことでした。その日は特に予定もなく、家でぼんやりと過ごす休日。そんな中、Yahoo!動画で発見したのが、Perfumeポリリズムの動画。なんとなくクリックして見てみた。

初見の感想は。なんだかよくわからない。良いでも悪いでもなくて、何これ?って?マーク。自分の頭の中で消化できなかったので、さらに何回かくり返して見てみた。

はまった!ありえないくらいはまった!


その日、他の曲の動画を見つけられる限り見てみた。某掲示板で関係するスレを読んでみた。で、次の日には、CDを買いに行ってました。

それ以来、ひたすら聴きまくって、動画を見まくって、関係するスレをチェックする毎日。

2週間後には、インストアイベントの参加券をヤフオクで落札して、初の生Perfume。彼女たちのダンスパフォの素晴らしさと、神懸かり的な広島弁トークの面白さを体感。まあ、神懸かり的は言い過ぎですが、トークライブだけで金はとれるなとか思う。

ハローにはまってから初の現場まで半年以上はかかったのでこのペースには我ながら驚き。さらに来月頭にはライブに行く予定だったりします。


こういう形で、ハロヲタとしての自分が終わってしまうとは予想外でした。完全にプライオリティは入れ替わってしまいました。具体的な例で示すと、Perfumeで遠征できるけどハローではできない、Perfumeで有休は使えるけどハローでは使えないといった感じです。

で、Perfumeの何が面白いのか、というか、なぜはまったのか、自分なりに考えてみた。


テクノというかハウスというか中田ヤスタカの作る音、きっちり考えて作られているPV、アクターズスクール仕込みのダンスパフォーマンス、アイドル系とは思えない楽しめるトーク、そのひとつひとつが長い下積みキャリアを経て成熟されているところ、要素をあげればきりがないのだと思う。

でも、一番大きいと思うのは彼女たちが持っている物語性。思い返せば、僕はモーニング娘。が持っていた物語性に惹かれてファンになったのでした。


しかし、よく考えてみると、数々の偶然という要素はあったとしても、モーニング娘。の物語性って、ASAYANという番組の中での演出という要素が相当大きいのだと思う。

当然、Perfumeも事務所なりスタッフサイドの戦略の中で活動しているわけなので、その演出の枠に入っているのは事実です。だから、Perfumeのメンバー自身で言うとおり、事務所の方針に従うのがアイドルっていう意味では、間違いなくアイドルでしょう。

ただ、最初、3人でやっていたメンバーのうちの1人が抜けたときに、のっちをあ〜ちゃんがエレベータの中でスカウトしたというエピソードとか、MCでのトークのフリーさとかを見る限り、自分たちで考えるセルフプロデュースがある程度許されているような気がします。音を作る人、アートワークをやる人、振り付けする人、事務所サイドの人、それぞれ方針を決める人はいても、それを形にしてるのは実は彼女達自身じゃないって気がする。そう、Perfumeって、考えながらアイドルしてるんだろうって思う。

それは、事務所的にそこまで期待されたプロジェクトではなくて、実際に長い間芽が出なかったという事実からも推測できます。その点が、巨大なプロジェクトとして相当な投資がなされたであろう娘。プロジェクトとはスタートから決定的に違う。

誰かに作られた物語と自分たちで作った物語、どちらが面白いかと言えば、その答えは明解。所詮、芸能界という大きな枠組みの世界で言えば、大なり小なり演出サイドの力が大きいので、レベルの違いにしか過ぎないのでしょうが、ハロプロとは相当違うのは間違いない。


アイドルという枠組みの世界で語ると、ハロプロとAKBはそう大きく違わないけれど、この2つとPerfumeとは全然異質のものだと思う。

今出ているサブカル誌「Quick Japan」の最新号では、Perfumeを大々的に特集しています。で、そのタイトルが”「アイドル」を回復する3人”。これにはなるほどと思う。

おニャン子クラブ以降、アイドルは氷河期を迎えて、モーニング娘。まで、世間に浸透した存在としてのアイドルは現れなかったわけですが、これは、おニャン子クラブ自身がアイドルという枠組み自体をパロディ化したプロジェクトでもあったがために、受け手側が冷めてしまったという要素があったのだと思う。

おニャン子クラブが一つのプロトタイプとしてあって、ハロプロも多分に影響を受けているし、AKBはまさに正統後継者とも言えるのだけど、そのプロトタイプは、そもそもアイドルをパロディ化する意味を含んでいるので、実は本当のアイドルではない。そういうことなんだろうと思う。

で、今、Perfumeの3人は、QJ誌の表現を借りると、失われてしまった「アイドル」を回復しようとしているのです。


まだ、彼女たちは、まさにブレイクしようとしている段階なので、回復しようとしている段階にしか過ぎないのだけど、本当に回復する日がくるまで追いかけてみようと僕は思う。